愛情の鎖
「バカバカしい……私はもう寝るから」
「あっそ」
心底呆れたように背を向けると、コウさんが笑いながら煙草の火を揉み消した音がした。
「梨央、旦那に満足してないならいつでも言えよ。どうしてもっていうなら俺が相手してやってもいい」
「バカじゃないの」
例えそうだとしても、素性も分からない嫌味な奴には頼みませんよーだ。
「コウさんみたいないい加減な男だけは遠慮しとく」
「ふっ」
そう言いながら早足で遠ざかると、私はコウさんの顔を見ることなくバタンと扉を閉めた。
はぁ…ストレスが溜まる。
もうさっさと寝よう。今日はいつも以上に疲れた日になってしまった。
なんだか歌をうたう気にもなれない。
何もする気になれないや。
私はバタっと力なくそのままベッドに潜り込むと、疲れきったように目を閉じた。