愛情の鎖

着いた場所はラーメン屋とは思えないほどとても小洒落たお店だった。

まるで政治家が通うような日本料亭のような外観。そして庭園。


「ここで、ラーメン?」

「ああ、このミスマッチな感じが面白いだろ?」


そうかな?

そこは想像以上にミスマッチすぎて正直ラーメンを食べるとは程遠い気がする。

だって、出迎えてくれた女将さんはもちろん着物姿だし、通された個室?もおもいっきり和だし。


「安心しろ、料理の味は保証する」

「……うん」


私の違和感を見抜いたようにぎゅっと手を握る宗一郎さん。そのまま座敷に座らされた私はなぜかラーメンより先に日本酒を飲まされる羽目になってしまった。


「美味しいだろう」

「……うん」


頷いたものの、正直始めに飲まされたお酒のせいでメインのラーメンの味がよく分からない。

何だか大人の味がする…


「宗一郎さんも美味しいですか?」

「ああ」


本当かな?

少しほろ酔いになりながらも目の前のラーメンをすする私。どっちかっていうと行列のできる美味しいラーメン屋を期待していたんだけど…

人混みが大嫌いな宗一郎さん。だからこの店は彼らしいチョイスだと言えばチョイスだと思うけど。


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