愛情の鎖

それからどのぐらい経ったのか分からない。随分と長いキスを交わした後私は宗一郎さんにグッタリと身を預けていた。

目の前が潤んで見え、息が上がり、意識が盲ろうとし始めた頃。


「今日は此処に泊まる」

「え……」


そう言われ、私は少しだけ重たくなった瞼を上げた。見下ろしてくる宗一郎さんの顔がなんだか悪魔のように見える。


「…でも……」


此処ってご飯食べる所じゃ…

そう思った私は次の瞬間、宗一郎さんがとった行動に嫌でもその事実に納得させられた。


なるほど…

隣の部屋のふすまを開けると布団が綺麗に一組敷いてある。まるでお忍び高級旅館のように。

それは床一面が畳になっていて、部屋の真ん中にこれ見よがしに敷いてあるダブルサイズの敷布団。


「ふ……」

これじゃあまるで本当に悪どい政治家に騙された哀れな女のようだ。

そう言えばこの部屋まで来る途中やたら距離があったな?なんて思い返しながら、横抱きに抱きあげられた私は宗一郎さんにだらりと身を任せる。


「此処って旅館だったんですね」

「ああ」


結局はこうなる運命。

ゆっくりラーメンを味わう隙もないし、これじゃあ家に居る時とあまり変わりはしない。

そのまま宗一郎さんの熱い吐息が首筋にかかると、私はいつものように感情をシャットダウンした。

よく分からないまま布団に寝かされ、服を脱がされた瞬間、本能むき出しの彼の身体にぎゅっとしがみ付くしかなかった。

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