愛情の鎖
「おい、今暇か?」
「暇じゃなーい」
「どうみても暇だろう」
「今ビール飲んでるもん」
「ちょっと来い」
だから暇じゃないってば…
私の言葉は無視ですか。
かるくガンを飛ばしてくるコウさんに不本意ながらも立ち上がる。
「用があるならそっちが来ればいいじゃない」
「いいから来い」
ムム…
偉そうに。それでなくても今日は何となくイライラしてるのに。嫌な感じ。
分かりやすく仏頂ずらでコウさんが居る柵の所まで行くと、彼はそんな私を気にもとめない素振りでニヤリと煙を吐きだした。
「これやるか?」
「え?」
「後輩から貰った」
目の前に差し出されたのは赤、黄色、青、緑のカラフルな色で包装された花火だった。
それはコンビニやスーパーなどに売ってる手軽に買える少し小さめのサイズのものだ。
なぜかそれを私に見せて「やるか」と言ってくる。
「どうしたの、これ?」
「だから貰った」
「へ〜〜」
そっか、もうそんな季節なんだね。
ああ、そういえば今日は6月の終わり。明日からは7月だ。