愛情の鎖
「ありがとう。じゃあ、遠慮なく…」
「ああ、高くつくぞ」
「ふふ……」
どんな顔していいのか分からず、ケーキを見つめながら俯いた私。
その後は何故か「腹へった」と言ったコウさんが突然カップラーメンを食べ始めたから、私も便乗して2.3口ちゃっかりもらってしまった。
それが美味しくて…
昨日宗一郎さんと食べた高級ラーメンより比べものにならないほど美味しくて、気づけば久しぶりに体の芯までほっこり安らいだ気持ちになった。
そうなると自然と大好きな歌を口ずさんでいく。
それを黙って聞いてくれる彼。
隣でぶっきら棒で何を考えてるのか分からないコウさんが何も言わずタバコの煙を吹かしていて。
それがまた妙に心地よくて。
何も考えずに自然な私のままでいれた貴重な時間。
この日お世辞じゃなく、本当に嬉しい気持ちが広がった私はこの瞬間とても楽しい一時だと思えたのだ。