愛情の鎖
別に逃げたりしないのに…
そう憤りを感じながらも私の心は思ったより軽やかだった。
むしろ自由だとさえ思った。この部屋から出なければ私は何したっていいことだもんね。
確かに前まではそれも苦痛に感じていたけれど、でも今は少し…違う。夜になれば楽しい話し相手がいる。
この窮屈な空間の中、唯一気を使わないで話ができる相手が居るってことを思うと、何故だかふわりと安らいだ気持ちになれるのだ。
「ほらー、やっぱり楽しそうじゃないっすか」
「だから違うってば」
「はいはい、そういうことにしときやす」
ふぅ……
面倒くさ。
だからといって別にコウさん会えるからとかそんなんじゃない。
ただ、何気なく話せる相手が欲しいだけ。
それだけだもん。