愛情の鎖
上下グレーのスーツ姿を不可なく着こなしてるコウさんの後ろ姿。
相変わらず遠目からみてもスマートで格好いい。
そしてなにやら携帯をいじっているようで私に気づく様子はまったくない。
こんな所で会うなんて珍しい。仕事は終わったのかな?
そんなことを思いながらマジマジと見ていると、「澤田様」と名前を呼ばれ、ハッとして遠藤さんの方へ顔を戻した。
「何か気になるものでも?喫煙室がどうかなさいましたか?」
「あ、いえ……」
「あそこにいらっしゃるのは…ああ、真白さまですね」
「えっ」
まし、ろ?
「真白晃一様です。確か澤田様のお隣の住人かと思いますが」
あ、そっか。
コウさんの名字って真白っていうんだ。
一瞬誰だかわからなったけど、遠藤さんに言われて今更ながらにコウさんのフルネームを知った感じ。
「もしよろしかったら、真白様もご一緒にお誘いしてはどうでしょうか?せっかくの機会ですし、同じマンションの方と話すのも少し気分転換なるかもしれませんよ」
「いや、それは……」
「おや、ちょうど今真白様が喫煙所から出ていらしたようです。
ああ、これはこれは真白様お疲れ様です。今ちょうど真白様のお話をしていたところなんですよ。よろしかったらご一緒しませんか?」
え……