愛情の鎖

「梨央、朝からやけに積極的だね」

「…だって、宗一郎さんがこんな風に触れてくる、から」

「可愛い。いい子に待ってたご褒美にこれからうんと甘やかしてあげる。さぁ、おいで」


そしてベッドに運ばれて、今日も私は宗一郎さんに抱かれる。

さんさんと降り注ぐ朝日の中で。

キングサイズの柔らかなベッドで突かれるたび、私の感情だけが暗闇の中に落とされていく。


深く、深く…




そして激しく抱かれた後、真っ暗な地獄の底へと落とされていくのを痛感する。

彼が眠りについた後、私に残されたのは快楽という苦痛だけだった。



「あ、もうこんな時間……」


散らばった服をかき集めた私は熟睡する宗一郎さんに目を向ける。少し幼く見える彼の寝顔。

40代とは思えない若々しく整った顔立ち。彼は世間一般でいうイケメンの分類だと思う。

そんな宗一郎さんを数秒無表情で見つめながら、私は冷たくなった素肌に衣服を淡々と重ねていく。


「そろそろご飯食べなきゃね」


空っぽになった体を起こしてゆったりとリビングに向かう。

そしてすぐそばの窓を開け放った私は空に向かって目を細めた。


よかった。今日も晴天だ。

それだけが今の私の唯一の喜び。

今日も頑張ろう。

彼を怒らせないように。

彼好みの妻を演じなきゃ。

だって彼は私の旦那様。

彼は大切なご主人様なのだから……








< 9 / 491 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop