愛情の鎖
「梨央、朝からやけに積極的だね」
「…だって、宗一郎さんがこんな風に触れてくる、から」
「可愛い。いい子に待ってたご褒美にこれからうんと甘やかしてあげる。さぁ、おいで」
そしてベッドに運ばれて、今日も私は宗一郎さんに抱かれる。
さんさんと降り注ぐ朝日の中で。
キングサイズの柔らかなベッドで突かれるたび、私の感情だけが暗闇の中に落とされていく。
深く、深く…
そして激しく抱かれた後、真っ暗な地獄の底へと落とされていくのを痛感する。
彼が眠りについた後、私に残されたのは快楽という苦痛だけだった。
「あ、もうこんな時間……」
散らばった服をかき集めた私は熟睡する宗一郎さんに目を向ける。少し幼く見える彼の寝顔。
40代とは思えない若々しく整った顔立ち。彼は世間一般でいうイケメンの分類だと思う。
そんな宗一郎さんを数秒無表情で見つめながら、私は冷たくなった素肌に衣服を淡々と重ねていく。
「そろそろご飯食べなきゃね」
空っぽになった体を起こしてゆったりとリビングに向かう。
そしてすぐそばの窓を開け放った私は空に向かって目を細めた。
よかった。今日も晴天だ。
それだけが今の私の唯一の喜び。
今日も頑張ろう。
彼を怒らせないように。
彼好みの妻を演じなきゃ。
だって彼は私の旦那様。
彼は大切なご主人様なのだから……