下町退魔師の日常
もう、決めた。
退魔師が居る限り、呪われた日常でも、この町の人達は笑っていられると思ってた。
だけど、違うんだ。
久遠くんの言う通り、元凶を絶たなければ何も変わらないんだ。
辺りはだんだん薄暗くなってきて、視界もゆっくりと闇色に閉ざされていく。
祠もそれと共鳴するように、だんだんと禍々しい気が沸き上がってくる。
あたしは短刀を地面から引き抜いて立ち上がると、刀身に巻かれていた布を取り払う。
「・・・決めたのよ。誰が何と言おうと」
あたしの大好きな人達がずっと、笑っていられるように。
「マツコ」
いきなり声が聞こえて、あたしは振り返る。
「久遠くん・・・何度も言ってるようだけど、魔物退治の時は大人しく待っててって」
「1つ、聞いてもいいか?」
これから魔物退治だってのに、久遠くんはまるでそんな事関係ないって顔で、そう聞いてきた。
「最初にここに来た時、どうして俺を一晩泊めたりしたんだ?」
「・・・・・・」
あたしは久遠くんから視線を逸らすと、祠の方を見た。
最初にナイフを持ってこの松の湯に乱入して、あろうことか、たまたま来ていたノリカちゃんを襲おうとした久遠くん。
ホントなら、これだけでも許せない行為なんだけど。
そんな事、あたしにとっては凄く簡単に答えが出せる質問だった。
だって。
「あの時、久遠くん・・・とっても寂しそうだった。泣きそうなくらいに」
「・・・・・・」
「そんな人、放っておけないよ」
その時、サスケが低くうなり声を上げ、不穏な空気が辺りを包み込んだ。
緊張感が高まっていくと同時に、短刀はだんだんと刀身を鈍く光らせる。
「下がってて、久遠くん」
身を低くして構えるあたしの首元が、ふと、暖かくなった。
退魔師が居る限り、呪われた日常でも、この町の人達は笑っていられると思ってた。
だけど、違うんだ。
久遠くんの言う通り、元凶を絶たなければ何も変わらないんだ。
辺りはだんだん薄暗くなってきて、視界もゆっくりと闇色に閉ざされていく。
祠もそれと共鳴するように、だんだんと禍々しい気が沸き上がってくる。
あたしは短刀を地面から引き抜いて立ち上がると、刀身に巻かれていた布を取り払う。
「・・・決めたのよ。誰が何と言おうと」
あたしの大好きな人達がずっと、笑っていられるように。
「マツコ」
いきなり声が聞こえて、あたしは振り返る。
「久遠くん・・・何度も言ってるようだけど、魔物退治の時は大人しく待っててって」
「1つ、聞いてもいいか?」
これから魔物退治だってのに、久遠くんはまるでそんな事関係ないって顔で、そう聞いてきた。
「最初にここに来た時、どうして俺を一晩泊めたりしたんだ?」
「・・・・・・」
あたしは久遠くんから視線を逸らすと、祠の方を見た。
最初にナイフを持ってこの松の湯に乱入して、あろうことか、たまたま来ていたノリカちゃんを襲おうとした久遠くん。
ホントなら、これだけでも許せない行為なんだけど。
そんな事、あたしにとっては凄く簡単に答えが出せる質問だった。
だって。
「あの時、久遠くん・・・とっても寂しそうだった。泣きそうなくらいに」
「・・・・・・」
「そんな人、放っておけないよ」
その時、サスケが低くうなり声を上げ、不穏な空気が辺りを包み込んだ。
緊張感が高まっていくと同時に、短刀はだんだんと刀身を鈍く光らせる。
「下がってて、久遠くん」
身を低くして構えるあたしの首元が、ふと、暖かくなった。