下町退魔師の日常
今頃気付いたけれど、その光は、祠を照らすようにゆらゆらと揺れていた。
ゆらゆらと揺れて・・・。
「何やってんだよ、このバカ野郎」
祠の近くを照らす懐中電灯の光が、こっちを照らした。
あたしは、目を凝らす。
建築現場で使うような大きなハンマーを肩に担いで、頭にはヘッドライト。
「幹久!!」
祠の隣に立っていたのは、幹久だった。
「何してるのよあんた!!」
幹久、どうして。
どうしてここにいるの!?
「何で来るの!?」
「うるせぇよ。そこのアホがな、バカな事考えてたからだよ」
ちょっと、久遠くんをバカだのアホだの!
あんたに言われたくないわよ!
何か言い返してやろうと思ったんだけど。
あまりにも予想だにしなかった幹久の登場に、あたしはそれこそバカみたいに口をパクパクさせるだけだった。
そんなあたしの言おうとした事を分かっているかのように、幹久は腰に手を当ててこっちを見据え。
「まぁ聞けバカマツコ。お前の父ちゃんのノートの最後のページな。そこには、ある仮定が記してあったんだ」
父さんのノートの最後のページ。
あたしまでバカ呼ばわりされたのは腹が立ったけど、その言葉で思い出す。
確か、無造作にちぎられていたけど。
「鬼姫の望みはな、久勝っつう侍と永遠に一緒にいることだ。その望みを叶えれば、この町の呪いは解ける、ってな。そこの呆けてるバカはそれを鵜呑みにしちまったんだろうな。嘘だと思うなら、久遠の後ろポケット、見てみな。ノートの切れ端が入ってるから」
言いながら、幹久はハンマーを祠に叩き付けた。
あたし達が松の湯を出る前。
幹久は久遠くんと二人で話をしていた。
この事を話してたんだ。
「だがな、その仮定は半分しか当たってなかった。そこの美人さんの望みはなぁ、ただ侍と一緒にいたいだけじゃねぇんだ。血と殺戮・・・それを、心から望んでるんだよ!」
言いながらまた幹久は、巨大ハンマーを振り下ろす。
鬼姫の今までの言動で、あたしも幹久の言葉を納得する事が出来た。
だけどその、祠を壊すっていう行動に何か意味があるの?
ゆらゆらと揺れて・・・。
「何やってんだよ、このバカ野郎」
祠の近くを照らす懐中電灯の光が、こっちを照らした。
あたしは、目を凝らす。
建築現場で使うような大きなハンマーを肩に担いで、頭にはヘッドライト。
「幹久!!」
祠の隣に立っていたのは、幹久だった。
「何してるのよあんた!!」
幹久、どうして。
どうしてここにいるの!?
「何で来るの!?」
「うるせぇよ。そこのアホがな、バカな事考えてたからだよ」
ちょっと、久遠くんをバカだのアホだの!
あんたに言われたくないわよ!
何か言い返してやろうと思ったんだけど。
あまりにも予想だにしなかった幹久の登場に、あたしはそれこそバカみたいに口をパクパクさせるだけだった。
そんなあたしの言おうとした事を分かっているかのように、幹久は腰に手を当ててこっちを見据え。
「まぁ聞けバカマツコ。お前の父ちゃんのノートの最後のページな。そこには、ある仮定が記してあったんだ」
父さんのノートの最後のページ。
あたしまでバカ呼ばわりされたのは腹が立ったけど、その言葉で思い出す。
確か、無造作にちぎられていたけど。
「鬼姫の望みはな、久勝っつう侍と永遠に一緒にいることだ。その望みを叶えれば、この町の呪いは解ける、ってな。そこの呆けてるバカはそれを鵜呑みにしちまったんだろうな。嘘だと思うなら、久遠の後ろポケット、見てみな。ノートの切れ端が入ってるから」
言いながら、幹久はハンマーを祠に叩き付けた。
あたし達が松の湯を出る前。
幹久は久遠くんと二人で話をしていた。
この事を話してたんだ。
「だがな、その仮定は半分しか当たってなかった。そこの美人さんの望みはなぁ、ただ侍と一緒にいたいだけじゃねぇんだ。血と殺戮・・・それを、心から望んでるんだよ!」
言いながらまた幹久は、巨大ハンマーを振り下ろす。
鬼姫の今までの言動で、あたしも幹久の言葉を納得する事が出来た。
だけどその、祠を壊すっていう行動に何か意味があるの?