下町退魔師の日常
何としても、アイツの注意をあたしに向けさせておかないと。
あたしは素早く起き上がり、祠から出て来たヤツに飛びかかった。
低い唸り声を上げながら、それはこっちを振り返る。
そうだよ、あんたの相手はあたし。
暗闇に、目はとっくに慣れている。
だから、はっきりと相手の姿が分かった。
グレーの肌は爬虫類のような見た目だった。
脂っぽいガサガサの髪の毛のようなものの間から、2本のツノが生えている。
耳まで裂けた口だけが異様に紅く、目ん玉には白目はない。
小さく唸るような呼気を口から吐き出しながら、その漆黒の眼球が、あたしを見据えていた。
そう、あんたの獲物はあたしだよ。
――・・・でもさ。
「大人しく殺られると思ってんの!?」
明らかに向こうの方が動きが速い。
なら、こっちが先に仕掛けるまで!
たった一撃が決まれば。
後は、この短刀が何とかしてくれる。
ねぇ、あんたも血が欲しいんでしょ?
鬼の姿をした魔物。
あんたの今日のエサは、コイツだからねっ!!
「うぉぉぉー!!」
雄叫びを上げて、あたしは低い体勢で走る。
この鬼、あたしよりも頭二つ分大きいから、懐に潜り込めば致命傷を与えやすいと思ったからだ。
だけど、次の瞬間。
鬼は、あたしを待ち受けるかのように四つん這いになった!
「・・・なっ・・・!?」
もう少しで短刀の切っ先が届くかという間合い。
そんな至近距離で体制を変えられても、あたしの身体は止まらなかった。
「がぁぁぁぁっ!!」
咆哮が聞こえたかと思ったら、右肩に激痛が走る。
「・・・っ!!」
ギリ、と奥歯を噛み締めて、悲鳴を上げるのを何とか堪える。
だけど、ミシミシと骨が軋む音が耳の中に響いた。
ヤバい。
このままじゃ・・・!
あたしは素早く起き上がり、祠から出て来たヤツに飛びかかった。
低い唸り声を上げながら、それはこっちを振り返る。
そうだよ、あんたの相手はあたし。
暗闇に、目はとっくに慣れている。
だから、はっきりと相手の姿が分かった。
グレーの肌は爬虫類のような見た目だった。
脂っぽいガサガサの髪の毛のようなものの間から、2本のツノが生えている。
耳まで裂けた口だけが異様に紅く、目ん玉には白目はない。
小さく唸るような呼気を口から吐き出しながら、その漆黒の眼球が、あたしを見据えていた。
そう、あんたの獲物はあたしだよ。
――・・・でもさ。
「大人しく殺られると思ってんの!?」
明らかに向こうの方が動きが速い。
なら、こっちが先に仕掛けるまで!
たった一撃が決まれば。
後は、この短刀が何とかしてくれる。
ねぇ、あんたも血が欲しいんでしょ?
鬼の姿をした魔物。
あんたの今日のエサは、コイツだからねっ!!
「うぉぉぉー!!」
雄叫びを上げて、あたしは低い体勢で走る。
この鬼、あたしよりも頭二つ分大きいから、懐に潜り込めば致命傷を与えやすいと思ったからだ。
だけど、次の瞬間。
鬼は、あたしを待ち受けるかのように四つん這いになった!
「・・・なっ・・・!?」
もう少しで短刀の切っ先が届くかという間合い。
そんな至近距離で体制を変えられても、あたしの身体は止まらなかった。
「がぁぁぁぁっ!!」
咆哮が聞こえたかと思ったら、右肩に激痛が走る。
「・・・っ!!」
ギリ、と奥歯を噛み締めて、悲鳴を上げるのを何とか堪える。
だけど、ミシミシと骨が軋む音が耳の中に響いた。
ヤバい。
このままじゃ・・・!