下町退魔師の日常
あたしは、何とか短刀を左手に持ち替えようとする。
こいつだけは落としたらいけない。
これは、あたしの唯一の守り神なんだから。
だけど・・・噛み付かれた痛みと痺れで、上手く短刀を持ち替えられない!
このっ、離せ鬼!
その時、目の前を小さな物体が横切った。
鬼の真っ黒な双眸が、ギョロリと動く。
「サスケ!!」
ダメだ、サスケの動きも、こいつに完璧に読まれている。
その事実に、あたしは愕然とした。
飛びかかったサスケを、鬼はあたしの肩に噛み付いたまま立ち上がり、バシッとたたき落とした。
「ギャン!!」
サスケは悲鳴を上げて、地面に叩き付けられた。
ウソでしょ・・・!
こいつ、知能があるの!?
今までの魔物は、ただ人間というエサを漁るだけだった。
単細胞な分、戦い方もそれなりに力押しで良かった。
だけど、今回は――明らかに、こっちの動きを先読みしている。
肩から滴り落ちる血が、握り締める短刀を尚更滑りやすくする。
あたしは鬼に噛み付かれたままぶら下がるような形になっていた。
だけど、霞む目を無理矢理こじ開ける。
このままここで殺られる訳には、絶対に行かないんだ!
今ここで殺られたら、次は町の人達が犠牲になる。
だってあたし・・・まだ結婚してないし!
跡継ぎ、当分ムリだし!
だから絶対に。
「・・・負ける・・・もんかぁっ!!」
あたしは、左手を右手の短刀に伸ばす。
だがその瞬間、鬼はブンッと首をひと振りして、あたしの身体を放り投げた。
そのまま宙を飛び、空き地を囲っている大きな木の幹に、したたかに身体を打ち付ける。
その拍子に、短刀が右手から離れた。
「しまっ・・・!!」
鬼がこっちに向かってくる。
まるで、あたしが短刀を手放すのを待っていたかのようだ。
やっぱり、こいつ・・・!
地面に転がりながら、あたしは頭だけを持ち上げて短刀を探した。
それは、2メートル先に落ちている。
だけど、たったこれだけの距離なのに・・・身体が動かない!
・・・最悪だ。
こんな事・・・絶対にあったらいけないのに・・・。
左腕を地面について、必死に起き上がろうとする。
鬼はすぐそこに迫る。
あたしを喰らおうと大きく開けた口からは、ヨダレがダラダラと滴り落ちる。
あー・・・嫌だ。
あんなのに食べられるなんて。
うつろな意識で、あたしがようやく上半身だけを起こした時には、鬼はすぐそこまで迫っていた。
こいつだけは落としたらいけない。
これは、あたしの唯一の守り神なんだから。
だけど・・・噛み付かれた痛みと痺れで、上手く短刀を持ち替えられない!
このっ、離せ鬼!
その時、目の前を小さな物体が横切った。
鬼の真っ黒な双眸が、ギョロリと動く。
「サスケ!!」
ダメだ、サスケの動きも、こいつに完璧に読まれている。
その事実に、あたしは愕然とした。
飛びかかったサスケを、鬼はあたしの肩に噛み付いたまま立ち上がり、バシッとたたき落とした。
「ギャン!!」
サスケは悲鳴を上げて、地面に叩き付けられた。
ウソでしょ・・・!
こいつ、知能があるの!?
今までの魔物は、ただ人間というエサを漁るだけだった。
単細胞な分、戦い方もそれなりに力押しで良かった。
だけど、今回は――明らかに、こっちの動きを先読みしている。
肩から滴り落ちる血が、握り締める短刀を尚更滑りやすくする。
あたしは鬼に噛み付かれたままぶら下がるような形になっていた。
だけど、霞む目を無理矢理こじ開ける。
このままここで殺られる訳には、絶対に行かないんだ!
今ここで殺られたら、次は町の人達が犠牲になる。
だってあたし・・・まだ結婚してないし!
跡継ぎ、当分ムリだし!
だから絶対に。
「・・・負ける・・・もんかぁっ!!」
あたしは、左手を右手の短刀に伸ばす。
だがその瞬間、鬼はブンッと首をひと振りして、あたしの身体を放り投げた。
そのまま宙を飛び、空き地を囲っている大きな木の幹に、したたかに身体を打ち付ける。
その拍子に、短刀が右手から離れた。
「しまっ・・・!!」
鬼がこっちに向かってくる。
まるで、あたしが短刀を手放すのを待っていたかのようだ。
やっぱり、こいつ・・・!
地面に転がりながら、あたしは頭だけを持ち上げて短刀を探した。
それは、2メートル先に落ちている。
だけど、たったこれだけの距離なのに・・・身体が動かない!
・・・最悪だ。
こんな事・・・絶対にあったらいけないのに・・・。
左腕を地面について、必死に起き上がろうとする。
鬼はすぐそこに迫る。
あたしを喰らおうと大きく開けた口からは、ヨダレがダラダラと滴り落ちる。
あー・・・嫌だ。
あんなのに食べられるなんて。
うつろな意識で、あたしがようやく上半身だけを起こした時には、鬼はすぐそこまで迫っていた。