いつか、振り向かせてみせます。
「確かにそうだね!ありがとう、西崎!」
さすが、男の子の意見は参考になる!
笑顔でお礼を言うと、照れてしまったのか西崎はふいっと、また私から顔をそむけた。
「でも私、よくよく考えたら私も先輩のことあんまりちゃんと知らないんだよね」
「え?そうなの?あんなに毎日、先輩先輩って言ってたのに?」
不思議そうに問いかけてきた菜々に、うんと頷いてみせる。
すると即座に、今度は西崎からの質問がとんできた。
「はー?じゃあ、何でよく知りもしないくせに、あんなに先輩にゾッコンなんだよ?」
「助けてくれたから」
「へ?」
目を点にしている西崎と菜々に、私は先輩を好きになったきっかけを話すことにした。
私が先輩を好きになったのは、1年生の冬。
2月……ロードレース大会の時に初めて先輩に会って、そこで恋をした。
運動はあまり得意なほうではない私だけど、ゴールするまでは絶対歩かないっていう自分だけの目標を立てて、中間地点を過ぎたところまでは頑張っていた。
だけど、狭い道を走っている時だった。
私が遅かったからだと思うんだけど、後ろを走ってた同じ学年の男子生徒が無理矢理追い抜こうとしてきたんだ。