いつか、振り向かせてみせます。
翌日。
学校に着くと、信じられないことが起きた。
「あれ……柊先輩っ!?」
朝からびっくり。なんと、先輩が私のクラスの教室の前にいた。
「あ、かえでちゃん。おはよう」
「おおおおはようございます!誰かにご用ですか?私、呼んで来ましょうか?」
何やら中の様子を伺ってたみたいなので、私のクラスの誰かに用事があるのかなと思ったんだけど、どうやら違ったらしい。
「いや、かえでちゃんに昨日のお礼言おうと思って」
私に爽やかな笑顔を向ける先輩。
きゃー!朝から先輩のこんな素敵な笑顔を見られるなんて!幸せすぎる!遅刻しないでよかったー!
「ま、まずくなかったですか……?」
「うん。めっちゃおいしかった」
そう言って、先輩はまたにっこり。
ひえーー!朝からそんなふうに微笑まれたら、もう幸せすぎてぶっ倒れちゃう!というか、もう心臓がドキドキしすぎてやばいよ助けて菜々ーー!
「そ、それは……よかったです……!」
柊先輩のキラキラにやられて半分ふらふらになりながらも、やっとそれだけ返す。
すると先輩は、少し罰が悪そうに苦笑して。
「かえでちゃん、クッキーありがとう。でも、そういうのいいから」
……え?
「君に好きになってもらうほど、俺はいい人間じゃないから」
柊先輩は、私の視線から逃れるように足早と自分の教室へと戻って行った……。