いつか、振り向かせてみせます。
柊先輩の好きなところ。
どこに惹かれたのか。
きっかけはあったにしても、改めて聞かれると答えに詰まる。
「……どこだろう?」
「ええっ!?」
首を傾げた私に、梨花先輩じゃなくて菜々のほうが声を上げた。
「先輩のこと好きじゃないの!?」
「いや、そういうことじゃなくって!だって、先輩のことちゃんとよく知らないし!」
詰め寄る菜々に私が苦笑しながら答えていると、梨花先輩が今度は不思議そうな顔でさらに質問をしてきた。
「じゃあ、どうして?こんなこと言いたくないけど、フラれちゃってるんでしょ?」
「はい、まあ……」
「しかも2回もフラれてるんですよ」
頷く私に、菜々が付け加えたように口を挟む。
わざわざ言わなくてもいいじゃん、グサリと来たよ今。
「好きになったきっかけはちゃんとあるんです。ロードレース大会の時に助けてもらって。でも、そのあとこれといった接点はなくて、話すこともなかったですし」
そうだ、ただただ陰から先輩を見ていただけで……。
話したこともないし、関わりもまったくといっていいほどなかったし、だから先輩のことはほとんど何も知らない。かといって、一目惚れだったのかと聞かれるとそうでもないような気もする。
でも……先輩のことを考えるだけで、こんなにも心が熱くなる。