いつか、振り向かせてみせます。
見事に玉砕を果たした翌日。
私は、登校してきた親友の関川菜々(せきかわ なな)に、真っ先に泣きついた。
「うわぁーん!菜々ぁー!」
「ぐぇっ!か、かえで……!い、いきなり飛びついてこないで……」
お腹にどすっと飛び込んだ為に、菜々が苦しそうにうめき声をあげる。
慌てて離れると、今度は優しい声で「いいよ」と笑ってくれた。
「内村先輩にちゃんと言ったんだ?」
「うん……。そしたらね、ソッコーでフラれてね、しかも、ぐすっ、す、好きな人が……い、いるってぇ」
「そっかそっか。そりゃ先輩だって男だもん、そういうこともあるよ」
抱きついて朝から泣きじゃくる私を、菜々がよしよしとなだめてくれる。
わかる、わかってるよ。
菜々の言う通り、先輩だって男の人なわけだし、人間なんだから恋もすると思う。
頭ではわかってる、人生そんなうまくいくわけないんだもん。
でもさ、やっぱりね。
「失恋はつらいよぉーっ!」
うわーんとさらに強く菜々に顔を押し付けて泣きわめく。
クラスのみんなの視線が私に集中してるけど、そんなの気にしない。
菜々の制服のカーディガンに私の鼻水がついちゃったけど、そんなの一切気にしない。