いつか、振り向かせてみせます。
「まーた“内村先輩”かよー?」
後ろから少し呆れたような聞きなれた声が聞こえた。
それに思わずむっとして後ろを振り向くと、思ってた通りの人物が立っていた。
「何よー、西崎」
部活の朝練を終えて教室にやってきたクラスメイトの彼は、西崎夏目(にしざき なつめ)。
「とうとうフラれたのか!うっわー、かわいそ」
汗をタオルで拭いながら、西崎が含み笑いで言った。
哀れみなんて1ミリも込められていない雑な言い方にイラッとくる。
思いきり顔をしかめてやったけど、そんなのは華麗にスルー。
代わりに私の心の傷をえぐることばっかり。
「てかさ、普通有り得ないでしょ。喋ったこともないのに告白とか」
「うっるさいなぁ、もう!西崎のアドバイスなんて聞いてない!」
西崎のバカー!
充分傷ついて、へこんで、やっと落ち着いてきた頃だったのに、またそうやってグサグサと。
「でも冗談抜きでさ、好きな奴がいるとかいないとかの話の前に、まったく知らない相手にいきなり好きとか言われても正直困るだけだぜ」
「うっ……」
西崎の真剣な眼差しが突き刺さる。
そうなんだよね、私もいきなりまったく知らない人から告白なんてされたらちょっと怖い。