いつか、振り向かせてみせます。




テスト週間になると、もちろん部活動もなくなります。
なので、先輩が帰ってしまう前に先輩の教室で待ち伏せしてたら、きっと会えるはず。


だけど、上級生の教室の前でずっと待ってるというのは、とんでもなく苦痛なわけでして……。


「誰?」「2年生じゃん」「何してんだろ」「誰か待ってんじゃね?」


そんな話し声が聞こえてくる。
確かに人を待ってるんだけど……先輩方にこんなじろじろ見られたら、関わりがない人ばかりだとしても怖い!


あー、菜々ぁ……。


バイトがあるからと先に帰った菜々が恋しくなるけど、先輩に会うためだ、我慢だよかえで。


「君、2年生?誰か待ってんのー?」


「へっ!? あっ、えっと、その」


柊先輩の教室から出てきた数人の男子生徒が、私に声をかけてきた。
先輩のクラスメイトの人かな……。


「えーっと、内村柊先輩はいませんか……?」


「えーっ!?何、柊の彼女っ!?」


私が柊先輩の名前を出した途端、内のひとりが心底驚いたように大きな声を上げた。


だけど、すぐに隣にいた男子が口を挟む。



「ばっか。んなわけねーだろ。柊には梨花がいるんだから」



チクリと、胸が痛んだ。



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