いつか、振り向かせてみせます。
「おお、どうしたのかえでちゃん?」
ふんわりと優しい笑顔に迎えられ、私の赤くなった頬も緩む。
「あの、先輩って……勉強得意だったりしますか?特に数学とか……」
「んー、まあ得意かどうかは微妙なとこだけど、勉強は嫌いじゃないかな」
よし、菜々の言った通りだ。
きっと先輩は、自慢みたいになるのが嫌で控えめに言ってるけど、嫌いじゃないなんてさらっと口にしちゃう人は間違いなく頭が良い。
「あ、あの!私、数学だけはどうしてもダメで、赤点に追試に補習の危機なんです!助けてください!」
「うん、わかった。いいよ」
……え?
私が言ったあと、ものの0.2秒ぐらいの間で答えが返ってきた。いわゆる即答というやつで。
断られたらどうしよう、なんて今更臆病になったりしないけど、それでもそれなりに勇気を出して言ったから、なんというかあっさりとOKされて拍子抜けしてしまった。
「じゃあ、さっそく今日これから一緒に勉強する?」
「は、はい!よろしくお願いします!」
2人で並んで歩きだし、集中して勉強ができそうな図書室へと向かう。
そういうわけで私は、今日からテスト当日までの間、先輩と一緒に勉強することになったのです。