いつか、振り向かせてみせます。




図書室には生徒はほとんどいなくて、ほんの数人が黙々と読書やら勉強やらしていた。


「さて、じゃあやりましょうか」


私が座り、柊先輩が私の隣に腰をおろす。
こんなにも近くに先輩がいることなんて初めてで、それだけで心臓が跳ね上がる。


落ち着け私!浮かれちゃダメ!勉強教えてもらうんだから!


深呼吸を3回ほどしてから、私は数学の教科書とノートをバッグから出した。


「うわー!2年生の教科書なつかしー」


先輩が楽しそうに笑って、私の教科書に手を伸ばす。


きゃー!私の教科書に先輩が触った!


たったそれだけのことにドキドキするなんて、私は勉強に集中できるのだろうかと自分で心配になりながらも「ここがわからないんです」と詳しく伝えた。


「テストの範囲はここからここまでで、でもこの辺がまったくわかんなくて……」


「なるほどね。じゃあ、とりあえずここの公式はわかるかな?ここの問題はその公式を使うんだけど……」


先輩の声が心地いい。
α波が出てるのかな、それとも数学なんてものと戦っているからなのか、ものすごく眠くなってくる。


「ここまでは大丈夫?わかるかな?」


声をかけられ、はっと我に返った。


「えーっと、はい!なんとか!」


「じゃあ、とりあえずここの問題やってみて。今教えた公式使えば解けると思うから」


「はいっ」



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