いつか、振り向かせてみせます。
放課後、私はさっそくバスケ部が練習している体育館へと向かった。
先輩の引退試合、絶対応援しに行く。
タオルとか差し入れとか持って行って、休憩中とかなら渡しても大丈夫だよね。
あ……でも、そういうのはマネージャーさんがやるのかな。
梨花さんの顔が思い浮かんできて、慌てて振り払うように頭を横に振る。
体育館の前に着き、私は軽く身なりを整えてから中に入った。
むあっとした熱気が頬を撫でると同時に、聞こえたのは誰かの叫び声だった。
「大丈夫か、内村っ!!?」
「柊っ!!」
……え?
練習は中断しているのか、コートの真ん中で部員たちが集まってる。
みんなは口々に先輩の名前を呼んでいて、何かあったのだということはすぐにわかった。
「柊先輩っ!? どうかしたんですか!?」
私も慌てて駆け寄ると……。
「うっ……痛っ……!」
右足首を押さえて座り込み、苦しそうに顔を歪ませている柊先輩がそこにいた。
「先輩……!? 怪我しちゃったんですか!?」
「か、かえでちゃん……?」
私の声に気付いて、柊先輩が顔を上げる。
「大丈夫……。たいしたこと、ないから……」
そう言って先輩は笑ったけど、額には汗がにじみ、無理しているのは一目瞭然。