刹那


ユウ。
あなたには迷惑をかけました。


あたしは、酷い女なのに。


今でもこうしてメールをくれる。
あたしが返信しないことなんて、わかってるくせに。




―――――…

―――


それは、あたしが学校に行かなくなってから三ヶ月経って間もないころ。


「ミサ!」

ベランダの下からあたしを呼ぶ。
二階までの距離なのに、わざわざ大きな声で呼ぶの。


それは、あたしがあたしの名前を忘れないように。


“ミサ”を、消さないように。





-
< 6 / 8 >

この作品をシェア

pagetop