神聖魔法団【下】
「制御できる力・・・」
今の私にそんな力はあるのだろうか?
今どれだけ自分が強いのか分からない。
たとえ、この7人の中で1番の魔力の持ち主でもカイザーに敵わないのなら意味がない。
「おい黎奈」
誰かに呼ばれ顔を上げる。
「そんな深く考えんな。
覚醒しようがしまいが、黎奈は強いんだろ?
気持ちのもちようでいくらでも制御できるだろう?
魔力を制御できる力じゃなくて、魔力を制御できる気持ちがあれば大丈夫だろ」
そう言ったのはこの中で私の唯一の理解者だった。
少しぶっきらぼうなのは照れているのを表していた。
実際、顔が少し赤い。
「黎兎・・・」
「俺はそう思うよ。
黎奈はどう思ってるのかは知らないけどね」
しばしの沈黙。
「・・・ッ・・なんで誰も何も言わんのだよ!?
くそ・・・ッ言うんじゃなかった・・・」
いつも私の考えていることをいち早く勘付いて安心させてくれる。
1人じゃないと思わせてくれる。
言葉の1つ1つに温かみがあって優しさが伝わってくる。
顔を真っ赤にしてそっぽを向いているたった1人の弟にゆっくり近づいた。