神聖魔法団【下】
「いいんだよ」
「え・・?」
「そうやって本音を言ってもいいんだよ。
全部、自分の中で決めてたんだよね?
何かあったら自分が。って。
そうすることで怖さを。
皆が死んじゃうかもしれないって怖さを押しこんでたんだよね?
でも、本当は怖かった。
死ぬのが。皆と一緒にいられなくなるのが。
けど、そんなこと思ってたらいざ守るとき戸惑ってしまうかもしれない。
だから必死で隠そうとした。」
廉さんの言葉の1つ1つを聞くたびに涙が溢れる。
「難しいよね。
仲間を守って自分が犠牲になるか。
仲間に守られて大事な人が犠牲になるか。
どっちも耐えられないよね。
本当に残酷だ・・・」
廉さんの目にも涙が溜まっていた。
「でもね、黎奈。これだけは覚えていて。
涯は弱くない。きっと黎奈たちの仲間も。
何があっても黎奈を守ると思うよ。
大事な仲間だから・・・。
俺は信じてるよ。皆が帰ってくることを。
いつか笑って普通の日常を手に入れることを」
「・・・ぐす・・・ッ・・・はいっ」
涙でぐちゃぐちゃな私の顔を廉さんが持っていたタオルで優しく拭いてくれた。
「そんな顔してたら怪しまれるよ?」
「廉さんこそ」
「はは」
お互いに笑いあった。
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闇夜に1つの影。
まだ深夜ではないのにそこだけが暗く、真っ暗だった。
「へぇ~」
怪しく笑ったその影は静かに消えた。