神聖魔法団【下】
side黎奈
気付いたら飛びこんでいた。
体が動けないはずなのに。
人間って凄いんだな。
「れ、な・・・」
「黎奈!!」
「黎奈ちゃん!!」
「お前、なに、して・・・ッ。何してんだよ!!」
黎兎の顔が悲しみで歪む。
「あ、はは・・・。れい、とっ・・怪我、ない・・っ?」
「ねぇよ、怪我なんてないよっ・・」
「よか・・・った・・・」
黎兎に触れたくて必死に体を前にひきずる。
「れ、な・・・」
「れい・・とっ・・・ッ」
手を黎兎に伸ばす。
後、もう少しで黎兎の顔に触れれる。
だが、私の手が黎兎の顔に触れることはなかった。
バタッ
私はそこで力尽きた。
頬には微かに涙の跡が残っていた。