神聖魔法団【下】
「俺も帰るね」
荷物を持つと立ち上がる瑠雲。
「じゃあ、俺もこれで」
そう言うと悲しげに笑って部屋から出て行った。
「・・・」
無言で炎虎が立ち上がった。
そのままドアの方まで行き
バン!
乱暴にドアを閉めた。
いつもなら怒る涯も今日だけは何も言わない。
「俺も帰る・・・。
母さんに話さなきゃ」
「ッ・・・」
かけられる言葉がなかった。
そうだ。黎兎は家族を失ったんだ。
この世でたった1人の“姉”を―――