神聖魔法団【下】
「黎奈、ちゃああん・・・ッ・・。
なん、で・・。なんでっ・・。
僕、まだ、何も、お礼・・・言って、ないっ。」
あの時の悲惨な惨劇が頭の中に流れる。
黎兎と黎奈ちゃんの1番近くにいた。
黎兎を庇って攻撃を受けた黎奈ちゃん。
体中が痛かったはずなのに
最後の力を振り絞って黎兎の元まで這いつくばってでも行こうとした。
黎兎に触れたくて。
温もりを求めて・・・。
あの時の黎奈ちゃんの表情が頭から離れない。
悲しみの苦痛の表情だったのに
弟が守れた喜びで少し微笑んでいた。
安心した表情だった・・・。
いつも喧嘩しててぷんぷんしてて表情が怖かったのに
あの時だけは“姉”の顔だった。
僕も見た事ない顔だった。