神聖魔法団【下】



「黎奈がカイザーに連れ去られてから時間が経っている。
もしかしたらカイザーは動き出すかもしれない。
俺の予想だとこうやって全員が集まってる時に襲ってくるだろう。

だから、こうやって集まってる時は気を抜くのはやめよう。
気を常に張ってるのは精神的に辛いかもしれないが耐えてくれ。

カイザーが最後に言った言葉が気になる。
俺達を全力で殺しに来るだろう・・・。
だけど絶対に死ぬな。生きるんだ。

俺達には待っててくれる人がいる。信じてくれる人がいるんだ。
だから、この戦いは皆が生きて帰るんだ。」





涯も怖いはずだ。





涯がいつも言う「死ぬな。生きろ」。



自分にも言い聞かせてるんだと思う。




自分の中だけで決めていても、やっぱり不安だ。




だから声に出す。




声に出すことで少しでも可能なことにしたいから。





「俺は死ぬつもりなんかねぇ」



「私だって。お父さんと約束したし!」



「俺も死ぬ気なんてない。やることは1つ。
黎奈を助けるだけ」




「僕は黎奈ちゃんを助ける!
皆がいるから僕は死なない!」





「黎奈を助けることが俺たちの目的だ。
絶対、誰も死なせない」




なんだろう、この気持ち。



心に温かさが染みる。




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