神聖魔法団【下】
「俺、黎奈と会えて良かった!」
満面の笑みで言う瑠雲の顔が眩しかった。
あ、そういえば。
「瑠雲、お前なんかあったか?」
思い出したことを主語なしに言うのは俺の悪い癖だ。
唐突に言ったけど理解したか?
言い直そうと口を開きかけたとき
「ちょっとね」
恥ずかしそうに瑠雲が答えた。
やっぱりあったのか。
「なにがあったか聞いても良いか?」
涯も興味があったのか俺たちの傍に来た。
その質問に笑顔で頷いた。
「黎奈があんなことになった日、家に帰って泣くの我慢してたんだけど
家族の前で子供みたいに泣いちゃってさ。
その時に母親に言われたんだ。
“笑いたい時は笑う。泣きたい時は泣く”って。
その言葉で何か吹っ切れたっていうか。
表情って大事じゃん?
その人がどんな風に感じてるのかが分かるから。
無理して表情作ってる自分がバカらしく思えて・・・。
だから決めたんだ。
自分に正直になるって。無理はしないって。
黎奈にもそのことで怒られたことあるし。
ちょっと違和感あるかもしれないけど、よろしく!」
そう言って笑う瑠雲は何だか輝いて見えた。