神聖魔法団【下】
「え、待って。
反対はないって・・・」
危うく聞き逃すところだったけど聞き間違いではないよね?
「あぁ。誰も反対はしなかった」
「母さんと決着の日に会うってこと?」
「そういうことだ」
なんで誰も反対しないんだよ・・・。
「好きなようにさせたいんだよ」
俺の気持ちが表情に出ていたのか雷が話しかけてきた。
「黎奈のお母さんが決めたことなら俺は反対しない。
行きたいと言うなら俺たちは全力で守るだけだ」
「危険なんだろ?」
「確かに危険なところだ。
だが、そんなことを言うってことはそれなりの覚悟があるってことだろ。
きっと、かなり我慢していたはずだ。
旦那さんのこと。黎奈のこと。そして黎兎のこと。
辛くても苦しくても悲しくてもひたすら耐えてたんじゃないか?
親は心配もするし応援もする。
辛いことがあっても、その気持ちを押し殺して生活してるんだ。
もう耐えられないんじゃないか?
黎兎を失ったら1人だ。俺だったら怖い。どうにかなりそうなくらい怖い」
2日前の母さんの顔を思い出す。
泣き出しそうな顔をしてた。
だけど力強い目をしてた。
どことなく黎奈を見てる気がして。