神聖魔法団【下】


そんなことを思いながらクッキーを口に運ぶ。



あんなにもたくさんあったクッキーがお皿の半分ぐらいになったところで涯が徐に口を開く。




「黎華さん、実は俺会ったことあるんですよ、1度黎華さんに。
覚えてますか?
さっきは初めましてって言ってしまいまたが・・・」




「え、そうなの!?」



これだけ驚くってことは覚えてないな。



「ごめんなさい、覚えてないです・・」



「いえ、気にしないでください。
俺がまだ中学生の時でしたので」




「いつ会ったんですか?」



俺たちは涯と母さんの話に耳を傾ける。




「綾兎さんのお葬式です」



「えっ」




「黎奈さんから綾兎さんの不思議な力のことは聞きました?」




「聞きました」




「俺の父親と綾兎さんは知り合いだったみたいで、よく家に遊びに来てくれたんです。
その時、親父と綾兎さんに不思議な力のことを聞かされたんです。
何でそんな力が備わったのかは分らなかったみたいですが。
俺が魔法使いの孫というのがもう分かっていたので聞かせたんだと俺は思います。

綾兎さんが亡くなったと聞いた時は信じられませんでした。
しかも亡くなった理由が力を最大限に使ったからだなんて。
綾兎さんは自分の力のことをよく知っていらっしゃったので無理なんてするばずがないと。
信じれなかったんですが、お葬式の日黎華さんたちに会って分かったんです。
力を最大限に使った理由が。

分かった時、涙が溢れました。
この話は黎奈からされてると思いますが俺からもきちんと伝えたいと思って今日話すことにしたんです。
悲しい気持ちにさせてしまったのなら申し訳ありません」



< 460 / 632 >

この作品をシェア

pagetop