神聖魔法団【下】
目に涙を浮かべた母さんが首を横に振る。
「いいえ。話してくれてありがとう。
綾兎は本当に昔から優しくて自分のことより相手のことばかり考える人だった。
子供ができたときなんて子供のことばかりで自分のことは後回し。
でも、きっとそんな人だから惹かれたのかもしれない。
綾兎が亡くなったのは黎奈を守る為だったのよね。
どこまでも本当バカな人よね」
涙を拭いながら笑いを零す。
「そんなことありません。
格好良すぎですよ。本当尊敬します。
・・・実は俺、あの時決めたことがあるんです。
黎奈さんともしこの先会うことがあったら何が何でも守ろうって。
綾兎さんが命をかけて守った命を守ろうって。
ですが、それが出来ませんでした・・・っ。
もう誰の泣き顔を見たくなかった。
だけど俺が弱いせいで犠牲にならなくて良かった人が犠牲になってしまった。
本当にすみません」
そう言って涯は頭を下げた。
そしたら他の皆も「すみません」と言い頭を下げた。
「みんな・・・」
「謝らないで」
皆がゆっくりと頭を上げる。
「ですが・・・」
「謝って欲しくないの。
黎奈が自分で決めて動いたんでしょ?
黎兎を守ろうとして動かない体を無理矢理動かしたんでしょ?
それだけ強い思いをもって黎兎を守ってくれた。
黎奈が今こうやってこの場にいないことは凄く悲しいことだけど綾兎と同じで黎奈も自分のことより仲間のことを思う子だったから。
だから私は黎奈を誇りに思うの。
体を張って大事な人達を守った。
だから、貴方たちのせいじゃない。
謝らないで」