神聖魔法団【下】
[なにをしている。さっさとやれ!]
どんどん力が加わる。
グンッ
力が更に加わったことにより服の袖が下がった。
<!?>
突如、黎奈の目が見開かれた。
視線の先にあったのは俺が黎奈にプレゼントしたブレスレットだった。
少しだけ力が弱まった気がした。
「これを、覚えてる・・・?
俺が、黎奈にっ、プレゼントした、ブレスレット、だよ・・・?
お姉ちゃん、お誕生日おめでとう」
俺がやりたかったことはこれだけ。
このブレスレットは黎奈の誕生日に俺があげた物だった。
こうやって「お誕生日おめでとう」って言って渡したんだっけ。
照れくさかったけど笑顔で受け取ってくれたのを俺は今でも覚えている。
これだけでも覚えていてほしかった。
だから正直少しだけ反応を見せてくれて嬉しかった。
俺の腕ももうそろそろ限界だ。
黎奈に殺されて死ぬなら別に悪くない人生だったよ。
ゆっくり力を抜いていく。
あぁ、もう少しで死ぬんだ。
そう思っていた俺の耳に聞こえた小さな声。