神聖魔法団【下】
葛藤
ここはどこだろう。
真っ白な世界だった。
さっきから歩いても歩いても何も見えてこない。
もしかしてここって天国?
そう思っても仕方ないぐらい何もなくて何も感じなかった。
寒くもないし暑くもない。
何も聞こえないし、いまここに立ってる感じもしない。
どうなってるんだろう?
最後に覚えてるのは黎兎の悲痛な表情だけだった。
私あの後どうなったんだろう?
黎兎にはもうあんな表情してほしくなかったのにな。
はぁ~。
とぼとぼ歩いていると光が漏れてるのに気付いた。
走って近付いてみると
「わぁ・・・」
漫画の世界から飛び出してきたんじゃないかと思わされるほど綺麗な人がそこにはいた。
キラキラ光ってる銀髪に、吸い込まれそうなほど力強い空色の瞳。
白いきめ細かい肌。
手足はスラっとしていて綺麗だった。
純白のドレスだろうか?
汚れを知らないかのような真っ白なドレス。
背中には羽根が生えていた。
この時点で人間ではないことがわかった。