神聖魔法団【下】



「黎奈も行って来い」




すると突然後ろからフワッと背中を押された。



振り向くと皆が居た。




「家族なんだろ?
ずっと会いたかった人なんだろ?
思いっきり甘えてこい」




雷にそう言われ私の足は自然とお父さんの元に向かっていた。




前からは抱きつけないから後ろに回って抱きついた。




「おお。黎奈か」



お父さんの頬は微かに濡れていて止まっていた涙がまた流れた。




しばらくの間、私たちは誰も口を開くことはなく



ただただ時間だけが流れていった。





穏やかな時間だった。



ずっとこうしていたいと思った。




家族4人でまた暮らしたいと。




また皆で笑って暮らしたいと。




でも、それは出来ないから。




今目の前にある幸せを少しの幸せを噛み締めた。




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