神聖魔法団【下】
<綾兎さん>
少し遠慮がちに、綺麗な声がお父さんを呼ぶ。
その声がLichtだと思いたくなかった。
時間なんて止まってしまえと思った。
でも、その願いは届かず、
「もうそろそろ時間みたいだ」
お父さんは名残惜しそうに私たちから離れた。
離れたくなくて首にギュっと抱き着いていると
私の手の上に誰かの手が重なった。
<黎奈>
反則だ、反則だよお父さん。
そんな寂しそうな声で呼ばれたら離れるしかないじゃん。
わがままなんて言えないじゃん。
ゆっくりお父さんの首から腕を離す。
温もりが消える。
1歩、2歩と後ろに下がる。