神聖魔法団【下】
「マルム・・・・?」
「ワシを殺せ。
そのままワシの身体を貫け」
何故かこの時、僕は剣を振り下ろせなかった。
さっきまでこっちに向かってきていた雷と涯は僕が大丈夫だと判断したのか瑠雲の元に戻っていた。
「どうした、ガキ。
とっととワシを殺せ。
仲間をあんな風にされたんじゃぞ?
殺せ」
振りおろそうと腕に力を込める。
だけど、振り下ろせなかった。
「抵抗しないの・・・?」
違和感があった。
吹っ飛ばす前と吹っ飛ばした後のマルムの瞳が違った。
濁っていたものが綺麗になった感じ。
なんだろ、この気持ち。
「してどうなる」
「・・・」
掛ける言葉が見つからなかった。
どうして僕はマルムを殺せないんだろう・・・。
さっきまであんなにも殺意があったのに。
今はもう全然ない。