叶うはずだった恋
「っと。見苦しいことをしてしまったね。すまない」
「大丈夫ですよ」
秀樹さんの謝罪にお母さんが笑顔で応答する。
そういや、何が微笑ましいのか、
笑顔だったな、お母さん。
「というわけだ。梨穂ちゃん。それでいいかね?」
秀樹さんに問いかけられ、
私はちらっと健斗の方を向く。
「私はいいです。でも健斗、不服そうな顔してますよ?」
「なんだ。まだ何か?」
「父さんいつまで働くつもり?」
「おまえが立派になるまで。まぁ30超えないうちに譲るさ」
「そ」