叶うはずだった恋
業者の車とほぼ同じタイミングでついた。
まぁ、車じゃ信号に引っかかるけど、
自転車はそうでもないからだけどね。
「はい、鍵。俺自転車直してくる」
鍵をぽんっと私の手に置く。
「お邪魔しま…ただいま?」
鍵でドアを開けたのはいいけど、何ていうか迷った。
「ただいま、でいいぞ。さ、業者の方もどうぞ」
お義父さんがすぐ出てきて、笑いかけてくれた。
「ありがとうございます。失礼します」
私は入らずに横によける。
「梨穂」
後ろから健斗に呼ばれる。
「今日からよろしくね」
振り向いて言う。
「ああ」
笑顔で返してくれた。