猫渕さんと犬尾くん
「だ、大丈夫ですか?聞こえますか?
痛みますか?」
体を揺すったのが痛かったのか
んんゔと唸って身を捩った。
「え、犬尾君?」
驚いた。
身を捩った際に顔に被さっていた腕が退けられ露わとなった顔は
恐ろしい位整った綺麗な見覚えのある顔だった。
「え?犬尾君犬尾君!」
何故この様な傷を作ってこの公園のベンチに寝ているか知らないが、
知り合いと分かってしまったので放置するわけにも行かない。
「ハァ、ハァ」
そして彼の息遣いが荒いことに気が付き
その額に手をおく
「あっつ!熱があるじゃない!」
「…す…て」
蚊の鳴くような声が聞こえてきた
「え?なんて?もう一回」
「ハァ、腹 が空い て 死にそっ」
「は?」
え?この状況で腹減ってるんですか?
怪我は?熱は?
「助け…」
「ああもう、無理に喋らないで」
仕方が無いとりあえず拾って行こう