猫渕さんと犬尾くん
「とりあえず行ってきなよ。
俺はここで待っててやるから。」
「本当に?
でも行く気しないな…
せっかくだしね、
会うだけ会ってみるよ。
成るべく早く戻るから。」
そう言って私は体育館裏へと急いだ。
ーー体育館裏ーー
はぁ、誰もいないし。
「帰ろっと。」
と、私が踵を返したとき
「おい、どこ行くんだよ!」
ゾロゾロゾロ
うわ、嫌なやつじゃないか。
先輩だよね?何年だろ。
しかも女5人って
「あの、
こんな所まで呼び出して何でしょう?」
一番前にいるボスらしき人が眉をピクッと動かし
「何でしょう、じゃねーんだよ!
お前なに犬尾様に馴れ馴れしくしてんだよ!
犬尾様はな、お前みたいなのと一緒にいて良いお方じゃねーんだよ!」
おお、犬尾様って…
まぁ、老若男女問わず見る者全てが目を奪われる美形ですが、
「私が誰と仲良くしようと、
かってじゃないですか?
何ゆえあなた達に束縛されなければいけないんですか?」
「お前!
ちょっと綺麗だからって
調子のんじゃねー」
ドンッ
「痛っ、何すんのよ!」
肩を押され体育館の壁にぶつかった
「お前、誰に口きいてんだよ!」
「貴女です!
たかが1、2歳違うだけて威張って!
しかも大勢で!
一人では何にも出来ないくせに
大勢に成ると強気になって!
私はそういう人大っ嫌いです!」
そう言ってやったのがいけなかった。
みるみる顔を赤くし
唇を噛み締め、眉を寄せ
悔しそうに顔を歪めると
「ごちゃごちゃ煩いんだよ!」
そのままボスの先輩は
右手を振りかざした
あ、と思った時には。
パァンッ!