恋のはじまりはキス
恋のはじまりはキス


「聞いてよー。彼氏がね」

会社の昼休み。

ほぼ毎日聞かされる同僚の咲(さき)の彼氏話。


「もう本当にむかつくの!」


そう言って、結局は好きで幸せなんだ。




「ねぇ、たまには百合の話も聞かせてよ!」


興味津々な顔で私一宮百合(いちみやゆり)のことを見る咲。


たまにと言いながら1週間に1回は聞いてくる。


「なにもないよー」


「じゃあ昔の話でもいいからさ!
百合の話、入社して4年目なのになにも聞いたことないんだよ?」



ないよ…彼氏いたことないし、キスだって…




生まれてから25年。代わり映えのない毎日をずっと過ごしてきた。



「えぇ!?百合、彼氏いたことないの!?」



まさか心の声が漏れてしまっていたなんて。

その代わり映えのない毎日がこの一言でがらりと変わることとなる。


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