恋のはじまりはキス
「お先に失礼します。」
「お疲れさまです。」
退社時刻になり、次々と退社していく同僚達。
この部屋に残るのは私だけになった。
さて、私も帰ろうかな。
そう思い、片付けをしていると、
「ゆーりーさん。」
背後から私を呼ぶ声がした。
私をこう呼ぶのは1人しかいない。
同期の林駿介(はやししゅんすけ)くん。
同期だけど彼は高卒私は大卒だから、年齢が4つ違う。
年上の私をさん付けするんだ。
「林くん。お疲れさま。」
「お疲れ!」
彼と話すのはいつも久しぶり。
彼は営業で基本は外回り。
私は事務でずっと座りっぱなし。
同期とはいえ、なかなか話すときはない。
「今帰りなら久しぶりに一緒にどう?」
「あ、うん。ちょっと待ってね。」
私は急いで帰る支度を済ませた。
「お待たせ。」
「ううん、いこ!」
部屋を出てエレベーターホールへと歩き出す。
「林くん、営業成績トップおめでとう」
「ありがとー!」