ブンキテン
「谷原くんって涙もろそう」
「はは、ばれた?俺、実は結構映画とか泣いちゃうタイプ」
ニカっと笑うその顔が、とてつもなく愛おしい。胸が苦しい。とても、苦しい。
「たには、らくん」
思わず呼びかけたその声に、谷原くんが、ん?とこたえてくれる。
それだけでもすごく嬉しい。胸が張り裂けそうだ。どうしよう。どうしよう。
「好き」
頭の中はすごく混乱しているのに、ポロリと零れたのは、私の谷原くんへの想いを詰め込んだ言葉。
もう後戻りできない、というかしたくない。この胸の苦しさをどうにか消化したい。
ごめん、谷原くん、私の行き場のない想いをどうか伝えさせて。
「…なんだけど」
「……」
目の前にいる谷原くんは固まったまま動かない。