短編
家に帰るとつい泣き出してしまった。
ここが家なのだという安心感と、ここを失うという未来と、あの女性の笑顔に対する恐怖。
全てが混ざり合って國嗣の小さな胸に渦巻きながらのしかかってきた。
初めてツナグ力を見たのは父の寝室だ。
そこに横たわる八場旺矢は眠っているのか静かで、ピクリともしなかった。
たまたま父に用があって寝室にきたけれど、声をかける前に父の恐ろしい声を聞いてやめてしまった。
ぐぐっと襖に手をかけ、中で見たのは、旺矢の胸の上に両手をかざす父の姿だった。
旺矢の胸から青い何本もの糸がぼんやりと発光しながら伸びていて、父はそれを束ねながら一本の糸にしていた。
ふいに右手が離れ父の胸に向かうと、心臓の辺りから白い糸が一本の伸びてきた。
それと旺矢の糸を結び合わせると父は何事か呟き、やがて糸は空気に溶け込むように霧散して見えなくなった。
「これがツナギヤだ」
突然声をかけられて國嗣は驚きのあまり声を出した。どうやら最初から知っていて見せつけたらしい。
ここが家なのだという安心感と、ここを失うという未来と、あの女性の笑顔に対する恐怖。
全てが混ざり合って國嗣の小さな胸に渦巻きながらのしかかってきた。
初めてツナグ力を見たのは父の寝室だ。
そこに横たわる八場旺矢は眠っているのか静かで、ピクリともしなかった。
たまたま父に用があって寝室にきたけれど、声をかける前に父の恐ろしい声を聞いてやめてしまった。
ぐぐっと襖に手をかけ、中で見たのは、旺矢の胸の上に両手をかざす父の姿だった。
旺矢の胸から青い何本もの糸がぼんやりと発光しながら伸びていて、父はそれを束ねながら一本の糸にしていた。
ふいに右手が離れ父の胸に向かうと、心臓の辺りから白い糸が一本の伸びてきた。
それと旺矢の糸を結び合わせると父は何事か呟き、やがて糸は空気に溶け込むように霧散して見えなくなった。
「これがツナギヤだ」
突然声をかけられて國嗣は驚きのあまり声を出した。どうやら最初から知っていて見せつけたらしい。