妄想世界に屁理屈を。
「なんてゆーか…偉いと思う」
“はあ?”
主には絶対に見せない刺々しい声に、苦笑する。
「アカネのこと、いつも絶対に思ってて。
人のために考えて、人のために働くのって、なんか尊敬する」
小さな頭を軽く人差し指で撫で撫で。
短いけど柔らかい羽毛の感触。
“当たり前でしょ、主だもの”
ふん、とやけに気高く鼻をならす。
泣いたカラスがもう笑った…いや、雀か。
誉められたのが嬉しかったらしい。
しかし、主じゃないものに向ける言葉はやけにアカネに似てるなあ。
“私は、アカネさまのためならなんでもするの”
「すっごい主従愛」
“だって、恩があるし”
「恩?」
“私、アカネさまの子供なの。だから生んでもらった恩”
けろっとした顔で、さも当たり前のように語る。
こ、ども?
スズが、アカネの?
「えぇええええっ!?」