妄想世界に屁理屈を。
“恩”は、困った人を助ける心
「私、神様じゃないんだって。本当はただの鳥」
「……」
人間になってほしくなかった。
これじゃあ、表情がわかっちゃうじゃんか。
こんな、憂いに満ちた顔、してほしくない。
子供には似つかわしくない、伏せた瞳に歪んだ唇。
こらえるようなそんな顔は嫌だ。
人間のくせに、とか。
アカネさまぁ〜、とか。
そういう子だったはずだろ?
「そもそも…朱が混じった羽は珍しいんだ。
生まれつきなんだよ、これ。
そのせいで人間たちに襲われまくって、伝説の不死鳥だーとか、鳳凰だから捕まえて献上しろーとか、なんか無駄に注目された」
人間嫌いはそのためか。、
無駄に突っかかってくると思ったら、なるほど。
妙に納得したと同時に、スズの苦労を知る。
辛かっただろうな。
見るもの全てに追われるなんて。
不死鳥でもなく、鳳凰でもないのに。
「だから最初は呪った。
不死鳥や、鳳凰とやらをね」
「スズが!?」
今はあんなに鳳凰さまさまなのに!