妄想世界に屁理屈を。


「昨日はごめん」


百瀬に謝る。

あぁ嬉しきかな、両思い――


声をかけたことにより、席の前にきた俺を認識したらしい。

本から目を離して、大きな黒い目が俺をうつす。


「柚邑くんっ」


ふにゃりと微笑んだ。


「昨日の妹さん、とっても可愛いね」

「ゆーちゃん?」

俺なんだよ、その妹さんは…


「…う、うん…ゆーちゃん」


顔を赤くして、本で少し隠してしまう。

「あ、の…ゆーちゃん何かいってた?」

「え?あ…」

告白のことを言ってるのだとすぐわかった。


「百瀬が、」


かまをかけてやろう、と悪戯心が働いた。

それに律儀に反応し、びく、と肩をあげる。

「私が…?」

おそるおそると言った様子。

可愛い、本当にこの子は可愛い。


「百瀬が可愛いってさ」


「なっ…ほ…」

ふうとため息。

ヤバイ可愛いだろ…ゆーちゃんなんかより、ずっと可愛い気がする。
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