妄想世界に屁理屈を。
キーンコーンのチャイムに胸を撫で下ろす。
スズから聞いた話によると、
『アカネさまとあんたは繋がってるから、もしアカネさまが襲われたら、あんたも死ぬよ』
らしいので、気が気じゃない。
「柚邑ー、めしー」
「すまん今日はちょっと用事あるんだっ」
厘介と紅太の誘いを断り、俺は結界を敷いた場所――屋上へ急ぐ。
鍵がかかってるはずなのに開いたのは、神様的な力だろう。きっと。
「アカネ!」
「おーぅ、お疲れ」
青空の下。
円上に並べられた蝋燭に囲まれながら、アカネが大きく手を振った。
「人間遅い!」
ふわふわと浮いてるアカネの横で、スズが人間の姿で怒ってる。
変な図だなあ、と心の橋で思った。
「アカネさま、柚邑にお入り下さい」
「はいはーい」
俺が蝋燭の中に入ると、ぎゅっと抱きついてきて、俺の中に入っていった。
「これが結界?」
「火は絶対に破られないから。結界なんて大それたもの敷けない私でも、ちょっとの霊力だけでできるの」
「絶対に破られないって…水とかは?」
「ただの火のわけないでしょ」