妄想世界に屁理屈を。
山登りを提案したのは紅汰で、それを計画して実行に移したのは厘介だった。
「ここの頂上に恋愛運がアップする神社があるんだってさー」
「マジか、行くぞ。この日でいいな。柚邑はいつでも暇だろ」
「…まあそうだけど」
で、行くことに。
俺は一切の相談なしで無理矢理連れてこられたって訳だ。
まあ健全な高校生の俺らにとって、恋愛運は命取りだし。
興味がないと言ったら嘘になるけど…
「うぁあああああああああああ!!!!!」
山道。
飛んだ帽子を取ろうとジャンプした俺は、真っ逆さまに落ちた。
くるくる回る視界を閉じると、こんどは背中に衝撃が走った。
そしてズズズやゴロゴロと音を立てながら、山を滑る滑る。
葉っぱやロープなどを蹴っ飛ばして、そしてさっきに至るって訳。